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特集記事

Vol.285 -- 2024 年 01 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」 徳川文武

第百七六回 日本に潔白な政治を

 国会で最大議員数を抱える自民党内に広がった「政治資金規正法」の悪用は、日本の腐敗した政治風土を「変革する最大の契機」になるかも知れない。自民党政権と旧統一教会との馴れ合いは岸内閣の時代、一九六〇年から今年で六十四年目になる。

 戦後の日本では戦時中の軍国主義から解放された共産主義者たちが日本共産党を組織した。一九六〇年の安保闘争から十年間、大学は学生運動の渦に巻き込まれた。その中でも東大安田講堂に立てこもった医学部の学生たちは待遇改善を要求して、無期限ストライキを宣言し大学側と対立、機動隊が出動して多くの逮捕者が出た。そののちも共産党や社会党などの革新政党は、日米安全保障条約、日本にある米軍基地、米軍原子力空母の寄港などに反対運動を続けることとなった。米国が事務環境を単純にするために、日本の政権に保守政党を望むのは自然なことかも知れない。しかし、西欧にある米軍基地の運用や管理に関して現地政府の権限は大幅に認められていると言うが、日本にある米軍基地では日本政府の権限が殆ど無視されていると言うのは、一体どう言うわけか。地元政府と結ぶ安全保障条約の内容が違うためか。

 自民党は旧統一教会の支援を受けて「長い期間」与党であり続けたので、当然、「腐敗を招きやすい政党の体質」が醸成されてしまった。一九六〇年、岸総理時代に日本に認可された韓国の旧統一教会は、日本で宗教法人格を付与してもらった見返りに、自民党に対して「選挙事務協力」を続けている。そして自民党は、旧統一教会に様々な便宜を図っているといわれる。安倍元総理の言葉では、総選挙で当選することが政治の全てであると言う。だから、旧統一教会は選挙運動に信者を送り細やかな奉仕をする。これは選挙法で違反ではない。だから選挙では自民党が多くの場合独り勝ちしてきた。一方、旧統一教会が日本人女性信者たちを標的に、霊感商法で何百億円もの現金を貢がせた責任はつまるところ、岸・安倍一族にあると言われても致し方ない。旧統一教会側も日本における宗教法人に認定された結果、信者の数が増え、巨額の実入りができ、韓国に大宮殿が建設できたわけだ。しかし、霊感商法で日本の女性信者を苦しめ、巨額の金を強奪したことは許せない。叡智を結集して、この宗教法人の日本における活動が出来ないように早急な措置を期待したい。

 さて二〇一二年以来、今年で自民党は与党を連続十二年継続した。自民党が主催するパーティーも毎年何回か行う。現在取沙汰されているのは、「政治資金規正法」が悪用されていると言うことだ。党支部の指示でそこに所属する議員は、課せられた枚数のパーティー券を支持者たちに売り捌く。所属議員は支部に収支報告をするか結果を保存するのが決まりであるが、報告しなかったり、内容を偽ったりする議員が多数いたり、報告するなと指示する支部もあると言う。その結果、議員本人は脱税や隠匿に問われる可能性がある。党としては、政府から党員数に比例した「政党交付金」を支給されるが、党員には直接支給されていないといわれる。「政治と金」の問題は総理大臣単独や内閣としては、五十年この方で、数回ほど大きな事件が起こっている。ロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件などは、事件としては「大きい」が、民主主義や議会制度を揺るがすような慣行が自民党内に広がって来たのは、長年自民党の政権支配が続いたためだ。

 これとは別に、年間千二百万円の現金を文書通信交通滞在費と称して議員に無条件で渡すと言う、国会議員だけの「既得権」も、納税者に義務化されるインボイス制度の厳しさからすると甚だ不公平な特権に見える。このさい、制度と運用を大幅に考え直した方が良いのではないか。

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