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特集記事

Vol.292 -- 2024 年 08 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

第百八十三回共和党大会で狙撃された元大統領トランプ

　この七月十三日の米国共和党大会で、共和党から次期大統領候補に任命されたトランプ前大統領が狙撃された。次期副大統領には、かつて民主党員でトランプに反抗していたが最近は親トランプ派になったバンスが任命された。テレビ報道で放映された会場の環境を察すると多数の参加者に取り囲まれた会場には、異常なことに、当然トランプの周辺が厚い警備陣が配置されていたと思われたが、それは実情ではなかったようだ。

　二年前に奈良では近鉄の駅前で地元の自民党集会が行われていたとき、この集会の応援演説に参加した安倍晋三元総理は、元統一教会の恨みを背負った青年に狙撃されて命を落とした。地元警察の警備配置が極めて手薄であったことが現場を撮影した写真から発覚した。一国の総理大臣の地方巡業の警護は式典の際の警備と格式が異なることから、首都東京から警視庁の特別警護が総理大臣に同行することなく、集会が行われる奈良警察が全面的に警護をするのが慣行だと言うのだろうか。

　一方、老衰の姿が報道で取り上げられる米国のバイデン大統領周辺では、民主党側の陣営は、一向に士気が上がらないようで、共和党陣営のような若手の姿が見られないのは残念なかぎりである。西欧のように連合政権の経験がない米国では、現在の民主党も共和党も首脳らが高齢であるという話では同じだ。我々日本でも同様で、政治資金の話が持ち上がること自体が、日本の政治家の高齢者支配という薄さを物語るものだ。現在海上自衛隊の長年にわたる防衛企業との不健全な売り手買い手の人間関係も、人間関係の管理の難しさを物語る。

　さて日本の東京都知事選挙では、五十人を超える立候補者が出たが、求められる資質を持つ候補者は滅多に輩出しないことを物語る。勝手に他人の批判ばかりして申し訳ないが、たしかに得票数では小池知事は第一位ではあるが、過去の業績は有権者が期待したような成果を上げたとは言い難い。都知事の職務は他の自治体がうらやむような企業住民税をいかに賢く使い、他の自治体へ有能な人材を転出させることも重要な役目だと思う。残念ながら自分で積極的に政策を創造せず、政府への責任転嫁に終始した。東京は財政的には、毎年六兆円の企業住人税があるのだから、政府よりももっと地方自治体と共有できる分野があるはずだ。老齢化した大都市の災害防止は底なしに金がかかる。現在の首都東京は年寄りと障害者にとって、世界で最も非人間的で行動の自由がない不便な都市である。空地が生じるとすぐさま不動産業が利権を独占するために商業施設や高層住宅を建てまくり故意に不動産価格を吊り上げるために、継続して大都市圏に住むことがますます財政的に難しくなり、しめだされてしまう。

便利で危険な乗り物
　いまや日本の電動自転車は完全に日本に乗り物として定着した。四、五十年くらい前までは、小さなガソリンエンジンが付いた自転車もあったが、そのような商品は姿を消した。これに代わって、数十年前に現れたのは、充電器付きの電気補助自転車で、六万円ほどで売りだされた。最近は十五万円以上もする機種もある。需要は着実に増加し、運転免許が不要なことから、ママチャリとして、学童児の送迎用に一家の必需品になった。我が家の付近の急坂を子供を乗せて走る母親も多い。

　十年ほど前から、電動スクータが市場に現れた。時速十五キロくらいで走るので、人混みがある歩道で走れば、事故を起こすことも多い。そればかりか、歩行者に割り込んで走るので、他人に迷惑をかける。電動スクータにはハンドルが付いていて、ブレーキもかかり、登録も必要になる。街頭レンタル一時間四百円くらいで賃貸されている。世田谷通りなどバス通行の公道でバスの走行側を走ったりするので、危険と言うほかない。動作が速く、バスなどに並行してオートバイ並みに走るのは危険だ。フランスのパリでは、いち早く公道走行を許可したものの、現在は使用禁止になった。混雑する都市で利用するのは危険だと判断したためだろう。

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