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特集記事

Vol.279 -- 2023 年 07 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」 徳川文武

第百七〇回 個人番号カードの落とし穴

 「マイナンバーカード」は「個人番号カード」のことで、日本政府が個人に発行する「身分証明書」の一つである。このカードはクレジットカードと同系で片面には個人の住所、氏名、性別、生年月日、顔写真が表示され、裏面にはその個人に特有な十二桁の数字が表示されているほか、磁気読取器で読み取る磁気符号が記録されている。さらにカードに封入されている半導体チップはスマートカード読取器に挿入してインターネットと交信するための電極を備えている。基本的には個人を同定する情報が掲載されているが、その個人に「紐付け」される「分野別情報項目」を健康保険番号、金融機関口座情報などを参照するが、カード自体には印刷されている情報以外は残らない。

 この個人番号カードは、日本では二〇一六年から「身分証明書」として請求者に発行されるようになった。現用しているカードは政府の発行で「身分証明書」機能を果たすものには、「運転免許証」と「旅券」があるが、「健康保険証」には顔写真が付いていないから単独では役に立たない。医療機関で初診の申し込みを健康保険扱いするには、運転免許証か旅券と健康保険証の提示が求められる。マイナンバーカードを登録すれば、健康保健医療で「毎月健康保険証」の提示が不要になった。マイナンバーカードはインターネットで電子納税の本人身分証明にも使う。私は米国に三十年近くも住み、会社の福祉担当を通して健康保険企業に保険の掛け金を払っていたが、勤務する企業が変わっても、いま言ったような不便に遭遇したことはない。

印鑑制度からデジタル制度への移行
 書類・印鑑王国である日本の習慣では、住所や勤務先の変更は引越し先の地元役所や公共サービス事業所や銀行や警察へのあいさつ回りもする。「地方自治体」では「印鑑登録」や住民票の書き変えが必要になる。日本では東京に政府の省庁が集まっているので、企業が省庁から認可を受けるときには申請書にさまざまな認可を申請する必要がある。日本のように「縦割り行政」では、事業を展開するには省庁にまたがる認可を取り付けないと、必要な事業認可が下りないことがしばしばだ。縦割り行政では、省庁同士が権益を広げようとするので、「デジタル化」などと言う新しい分野では、申請書はどの省庁が多能するのかを聞いて回らなければならなくなる。他社を制して競争に勝つかの鍵となる。この事情も新型コロナの蔓延で簡略化されつつある。

 米国には戸籍制度や印鑑制度がないが、居住する州が変わると十日以内にその州の運転免許証に切り替えることとなる。九桁の数字で表される社会保障番号は失業手当や年金をもらうために必要なので、地元事務所へに行って転入の手続きをする。とくに外国人は運転免許証を取ったり、銀行の口座を作るときに必要になる。米国の旅券は郵便局で申請収受をする。

政府支給額の払い込み口座
 政府は「義務でない」マイナンバーカードの普及を何とか日本在住者全員」に広げようと努力しているらしいが、目的が「カード保有者の身分証明」だけであれば、運が悪くても「記載情報」の間違いくらいで済む。しかし国会を通過した「法制度が正しく」ても、それを実施するには「欠陥がない手順書」が前提となる。総務省が考えたのは、「法制度で算出する支給額」を資格がある「日本在住者」の希望者が申請する「金融機関の口座」に払い込むことである。結果として、今回の支給を望んだ日本在住者は地方自治体を経由して、「あなたにはこの法律に従い何時々々までにこの金融機関のこの口座にこの金額が払い込まれます」と通知が来ることになる。今回の通知は口座情報の確認が目的だっただろうが、知らせを受けた本人は「知らせを受けた口座を持っていない」と返事したと言うのだ。どうやら希望者が政府に通知した金融機関の情報は「同姓同名で異人の口座」に紐付けられたと言うことらしい。受け取る方にして見れば、もっと多い額が支給される筈だと期待するかも知れないし、他人に自分の口座情報が漏らされたと政府を訴えるかも知れない。

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