特集記事
徳川文武の「太平洋から見える日本」
第百十二回 私の車と私の身体の健康状態
米国における人間の信用度
米国でアパートなどに入居するために申込書に記入する必要がある情報は、パスポートや自動車免許証や近親者の名前や電話番号だ。米国では社会保障番号が必要で、金融機関に口座を開設する必要もある。家賃は通常は個人小切手で支払する。アパートの管理者などは、申込者の自動車免許証の記載データ、犯罪歴や銀行への融資支払い履歴なども見ることが出来る。したがって、米国では、「自分の情報を清く保つ」ことが信用度を保つ最良の方法になる。幸い私は滞米三十年間、自動車運転の違反が殆どない。いくつかあったのは、駐車違反と朝夕に通勤車車線を一人乗り運転で走ったことくらいだ。自宅購入の融資でも支払いが遅れたことは殆どない。警官が立ち会った犯罪歴は全くないし、他人から訴えられたこともない。
私のフォルクスワーゲン
三十年の米国生活では自動車を運転することは必要になる。大学生活で学外に出ることがなければ自転車くらいで済む。はじめは一年くらい、大型のポンコツ米国車を運転していたが、燃費がガロン当たり五マイルくらいだったので、中古の日本車に乗り換えた。最初は日産サニーの米国版、セントラの三扉ハッチバックに十年くらい乗っていた。手動変速で燃費も加速も良く満喫した。次はフォルクスワーゲンのフォックスで、ブラジルで生産された三扉ステイションワゴンだった。この型はサンターナと呼ばれたこともある。これも手動変速ですでに十三万マイル走行した六年物の中古を、四千七百ドルで二十四年前に買った。それ以来使っているが、実にいろいろと修理をした。友人はブラジル製のワーゲンは車の値段は安いが、部品が粗悪だからすぐ故障すると言って、私をからかった。たしかに、車を買って毎月何か問題が起こり、部品の交換が始まった。冷却水用ポンプ、燃料ポンプ、点火用回転盤、距離計などきりがない。距離計が故障してしまったので実走した距離は、現在距離計が示す走行距離二十七万マイルよりもかなり多い。もう日本に戻って十年ほど余り乗っていない。フォルクスワーゲンは三十五万マイル(五十万キロ)走ると表彰されると言う。買った当座は車体に傷はなかったが、シリコンバレイの地元で乗るようになると、他人に傷つけられることが頻々と起った。そして今は可哀そうなまでに、私の車の車体はぼこぼこに傷めつけられた。五年ほど前に中国の大連へ旅行した時は、何とタクシーから警察車両まで幅広く使われていた。大連は中国の重工業地帯だから、長い間、現地生産されてきたものと思われる。
三十年間自動車保険はステイトファームの保険屋、フレッドマッケルに掛け金を払い続けた。私が事故などを殆ど起こさなかったので、最後の頃は優待保険料金として大幅に低い掛け金になった。でも車体に損傷を受け相手持ちで修理する時でも、保険会社は私の車の市場価値以上の修理金は払えないと言う。米国では自動車の車体検査や排気試験も州ごとに規則が違う。
快適な生活は健康な身体から
人間も七十歳を超えると、身長もどんどん低くなり、身体の具合もあちこち故障するのは車と同じだ。自動車と人体の健康の要所は異なるが、自動車ならエンジンと変速機とブレーキと電気回路など基本的な部分が正常に機能すれば自動車は走る。私が人体の機能の要、心臓をはじめとする臓器と脳と五感と四肢が調子良く動いてくれるには、「健康な歯」が重要だ。歯の健康は、口腔で十分な唾液の分泌が必要だ。一年以上前から、オーケストラの練習で管楽器を吹くことが歯の健康を保っている。
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