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特集記事

Vol.18 -- 2001 年 10 月号大野敏隆選手　柏レイソルMF------------------HARUTAKAONO

78年5月12日生、23歳。埼玉県出身。173cm・69kgのB型。前橋商業高校一97年柏、同年にはワールドユース大会にU-20日本代表として出場し、ベスト8に貢献する。2000年日本代表候補、2001年9.4現在Jリーグ通算88試合出場、12得点をあげる。

アナタハ、シゴトガスキデスカ？

始まりは小学校１年生、校庭だった。大野少年は上級生がサッカーボールを蹴るのを楽しそうだと思った。本格的に始めたのは小3年のとき。スポーツ少年団でみんなとボールを蹴り、プレーするのが楽しくて仕方がない。
……じゃあ、子供の頃からサッカー選手に憧れて？
「いえいえ。だって、Jリーグが始まったのは僕が中学のときですよ。何になりたかったかなんて覚えてないです」。
授業中、机と机の間でボールをトラップしていた中学時代。前橋商業高校では2年生で全国大会に出場、3年次には日本高校選抜で欧州遠征。高校最後の年、全国大会には予選で敗退。大学に行って教職をとって、学校で子供たちにサッカーを教えるのかなあ、と漠然と夢を見ていた大野選手にそのころからJリーグクラブのオファーがかかる。プロの道を決意させたのは、熱心なスカウトや恩師ではなく、大好きなおばあちゃんへの想いだった。
「僕、すっごいおばあちゃんっ子だったんですよ。でも、高３のときにおばあちゃんが病気になっちゃって、Jリーガーになってテレビに出るようになれば元気になってくれるんじゃないかって思ったんです」
　しかし、Jリーグのユニフォームを着る前におばあちゃんは他界された。

　大野選手はきっと、優しい。
　練習試合でも絶対に負けたくないし、的外れな野次にはムカッとする。試合を組みたてる重要なポジションMFとして、熱くなればなるほど、冷静になるクセも身に付けた。日常的に競い続ける人にとって優しいと言われることは適切ではないかもしれない。だけど、大野選手の中に灯っているのはマグネシウムの青白い炎ではなく、温かいオレンジ色の灯かりだと思う。
　これまで自分にサッカーの楽しさを教えてくれた先輩や指導者へ、辞めたいと思ったときに態度で励ましてくれた仲間へ、試合になかなか出られない後輩へ、サッカーを始めたばかりの子供たちへ、いろんな人への想いがある。それをなかなか語らない。自分の一番の表現がプレーだと知っているから。
　巧くなりたい。大野選手の目標はただ一つ。もちろん日本代表として世界で戦いたいと思っているが、それも通過点に過ぎない。「1つのパス、1つのドリブル、当たり前のことが当たり前にできる巧さ」と彼は言う。巧くなりたい、それはいつも胸の中にある種火。そしてピッチに入り、歓声を耳にする度にその炎は大きく燃え上がる。

　大野選手の素顔。例えば、映画「グリーンマイル」を４回見たり、死ぬ前には焼肉をたらふく食べたいと思っていること。これも彼の一部。でも本当に彼を知りたいと思ったら、スタジアムでプレーを見るのが一番だ。
……自分はサポーターじゃないし、選手の名前すらよくわからないので、スタジアムで疎外感を感じるんです。
「そんなことは関係ないですよ。僕らはあそこで全てをさらけ出します。だからお客さんも自由になってください。ビールを飲みながら、大声で叫んでもいい。そういう場所なんです」。
　大野選手は、自分が小学校で初めてサッカーに魅せられたのと同じように、今度はスタジアムで誰かがサッカーを好きになってくれたら、と言う。

　サッカー好きの大野少年は厳しさと楽しさを知り、柏レイソル、背番号10、MFになった。
そして、大野選手はサッカーが好きだ。

「チームで年に１、２回はバカ騒ぎして飲みますね」。普段は体調を管理しながら食事の時に少しだけ。だから試合の緊張やストレスから解放された時の酒は、うまい！　

2001Jリーグ「柏レイソル」2ndステージ日程

節	日付	時間	場所	対戦
6節	9.22(土)	19:00	神戸ユ	ヴィッセル神戸
7節	9.29(土)	19:00	柏	東京ヴェルディ
8節	10.13(土)	19:00	広島ス	サンフレッチェ広島
9節	10.17(水)	19:00	柏	ジェフ市原
10節	10.20(土)	15:00	柏の葉	鹿島アントラーズ
11節	10.31(水)	19:00	磐　田	ジュビロ磐田
12節	11.3(土)	19:00	柏	名古屋グランパス
13節	11.10(土)	14:00	埼　玉	浦和レッズ
14節	11.17(土)	19:00	柏	コンサド−レ札幌
15節	11.24(土)	14:00	日本平	清水エスパルス