Vol.39 -- 2003 年 07 月号
松戸市出身で活躍する文化芸能人 |
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ラジオのメインパーソナリティーや執筆活動で活躍する 松本 和巳さん(38)にお話を伺いました。 |
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↑フィレンツェに滞在中、反戦デモと遭遇。10代の若者達が中心だった。
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はじめまして。今日はよろしくお願いします。松本さんといえば、文化放送のラジオ番組に出演されていますよね。
はい。現在は週2回です。木曜はバラエティー番組、土曜は報道番組のコメンテーターとして出演しています。
その他に執筆活動など様々な芸能活動をされていますが、こうした活動を始められたきっかけは何だったのですか?
外国を旅して影響を受けたんです。若い頃、僕はアメリカが大好きで、何度もアメリカへ行きました。でも、20代後半からアメリカよりもヨーロッパに関心を持つようになったんです。ヨーロッパの長い歴史に魅かれました。フランスのシャンゼリゼ通りも現在の姿だけを見るとただの観光地ですが、かつては、ナポレオン3世が凱旋した地。300〜400年前にも、この地で喜びや悲しみを感じた覇者がいたんだろうなって実感できるんです。ヨーロッパの歴史の重みを感じ、それを支えてきたかつての人々にも重みを感じました。そこで、現代を生きる人間としての重みはどう表現すべきか?
という疑問を抱いたのがきっかけです。その表現方法のひとつが、ラジオ番組出演だったり、執筆活動だったり、カメラだったりする訳です。
そういえば、最近の執筆活動の中にヨーロッパを旅した紀行文がありましたね。
そうです。新潮社発行の「新潮45」に「松本和巳のディープヨーロッパ」という紀行文を執筆する為にヨーロッパを旅したのですが、その時期がちょうどイラク戦争が勃発する時期だったんです。
たいていの日本人ならその時期は、旅行しないですよ。
そうですね。危機意識を持つことは悪いことではないのですが、意識のレベルが画一化されるのは、日本文化の悪い所です。僕は、あまり日本人が行かない場所や避ける時期にこそ行く価値があると思うんです。特に今回は非日常の中の日常を目の当たりにできましたし…。
いよいよ開戦という日。僕はイタリアのフィレンツェにいて、泊まっていたホテルの窓から反戦デモの一行を目にしたんです。そのデモの中心がまだ10代の若者なんですよ。ヨーロッパの若者は自分達の未来を真剣に考え、それを行動に移せるんです。日本の若者にはない力だと思いました。日本ではもうすぐ、年金制度が破たんしてしまうという問題を抱えていても、実際に議論しているのは、50代以上の政治家達です。自分達の未来を今の大人に任せて、無関心なのは本当にもったいない。
最近、日本の学生が海外旅行に憧れる傾向がありますが、和巳さんは、日本の若者が海外に目を向けることに賛成ですか?
それとも反対ですか?
基本的には賛成ですね。国内にいる時には気付かなかった自分の悪い所、この国の悪い所が見えるからです。ただし、気をつけなければならないのは、自分を本当に知っているか、この国を本当に知っているかということ。それを知らずに、海外に出ても比較する対象がないんです。それでは意味がないんです。
なるほど。確かにその通りかもしれません。「海外で活躍する日本のスポーツ選手に憧れて…」という理由だけで海外を目指したりする人が増えていますし。
そういう人が多いのは、本当に日本的だと思います。価値観が画一化されて、海外イコール偉業を成し遂げたという図式が完成されてしまう。
その原因は何でしょう?
やはり、マスコミの力でしょうね。日本のマスコミには、大衆の意識を画一化させるだけの力があります。実はマスコミが何を基準に情報を作り、流しているのかを知りたくて、この業界に身を置いているという面もあるんです。すごく面白いですよ。全国に流される情報がけっこう適当に決められていたりして…。だからこそ、受け手となる大衆は情報を選別する力が必要なんです。それが、今の日本人に最も必要な力だと思います。
グローバルな視野で物事をとらえ、自分の意思をしっかりと持つことができるか否かが、これから日本を支えていく若者達にとって課題となりますね。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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↑マルセイユの教会にて撮影。 |
↑パリ 、サクラクレールの周辺納屋。 |
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松本 和巳 まつもとかずみ
昭和40年、千葉県松戸市に生まれる。日本大学法学部政治経済学科卒業。卒業後、都市プランニング会社等を経て、株式会社創健(健康センター国内4店舗)の取締役副社長を歴任、現相談役。さらに、関連会社数社のリエンジニアリングを手がけ、企業再生をテーマに奮闘している。また、政治の疑問点を探るために衆議院議員秘書を兼務、さらに、世の中の仕組みを知るために、著作活動やラジオのパーソナリティー等、芸能文化活動も始めた。
文化放送/毎週木曜日20時〜20時30分
「和巳と千里の聞いて! ナイト」のメインパーソナリティー、毎週土曜日7時〜8時には報道番組のコメンテーターを務める。
執筆/新潮社発行の「新潮45」に「松本和巳のディープヨーロッパ」と題し、グラビアで連載紀行記事を執筆。
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