Vol.33 -- 2003 年 01 月号
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旬の旨味と生活の知恵が秘めらた祝い魚
鮭と鰤 |
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↑祝い魚の鮭。市場には食べごろな鮭がたくさん並んでいました。 |
ぐるりと海に囲まれた我が日本。お国によって様々な「祝いの魚」があります。昔は地元に出向くか、干したり、漬け込んだり、きつく塩をするなど保存のきくものしか手に入りませんでしたが、設備や流通機構が発達した今は、津々浦々に生鮮品が行き渡るようになりました。そんな便利な時代であっても祝いの魚は、旬のもので、めでたさがあり、その地方で獲れたものとして、昔から変わることなく受継がれています。正月の祝い魚は一般に「東の鮭、西の鰤」と分けられます。
鮭は、秋から冬にかけ、北海道や東日本の河川に鮭が上がってきます。今では川を遡る姿はあまり見られませんが、産卵のため生まれ故郷の川に帰ることから「子を持って川を遡る」おめでたいものとされてきたのです。鮭は秋味(あきあじ)ともいわれ9月が旬。塩蔵加工された鮭は、暮れから正月になると熟成されて旨味が増します。
焼き魚や雑煮の他、昆布巻き、氷頭なますなど、捨てるところがなく、どんな料理にも使える魚として重宝がられています。
鰤は、回遊魚で西日本の海に現れる冬の時期は「寒鰤」と呼ばれ脂がのりきっています。「わかし、わかなご、いなだ、わらさ、ぶり」と成長によって名が変わる出世魚で、繁栄の願いが込められています。特に寒風吹きすさぶ12月になると北陸一帯では、ド・ドーンと雪起しの雷がなります。この雷は「鰤起しの雷」とも呼ばれ、この時期から鰤魚が始まるといいます。お造りの他、コクのある照り焼き、あら大根やかぶらずし等正月膳には欠かせません。
他にも、赤い姿がめでたい弘前の「きんき」や秋田音頭で有名な「鰰」。また、なれずしで名高い「鯖」や「鮒」など、その地で種々に調理されて祝いの膳に添えられます。
さあ今晩は、新巻鮭を使った料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。こだわりの食材を使用するなら、お供はやっぱりこだわりのエビスビール。相性が良く、食が進むこと間違いなしです。
新巻鮭の炊き込みごはん
正月に食べきれなかった鮭を使った彩りもきれいな一品です。
電気釜を使っても美味しく出来ます。
材料:米2カップ、新巻鮭2切、酒大さじ4杯、
醤油大さじ1杯、根しょうが2かけ、焼き海苔1枚
1. 新巻鮭に酒大さじ1をふりかけておく。
2. 根しょうがは細めの千切りにし、水にさらす。
3. 米は洗い通常の水加減で残りの酒と醤油を加える。
4. 3の上に根しょうが半両分を散らし、鮭をのせ炊きあげる。
5. 炊き上がったら、すぐに箸で鮭の身をほぐし骨を取除き混ぜ合わせる。
6. 器に盛り、残りの根しょうがと海苔を散らして完成です。 |
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