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徳川文武の「太平洋から見える日本」
第百七三回 シリコンバレイのこの頃
今回は身内の大学生と共にシリコンバレイで一週間を過ごした。この男二人の道中をご披露します。費用などは米貨で表記するものの、強いて円貨に換算するなら一五〇倍すれば良いとおもいます。九月四日羽田空港発サンフランシスコ行きのユナイテッド航空で、九月十一日成田空港帰着のANAに搭乗する直行便の旅は、往路が九時間、帰路が十一時間かかったものの中々快適だった。先ず往路は殆ど空席無しの盛況、帰路は八割程度の混み方だった。機上では座席の快適さと食事の美味しさが重要だが、機体は同じボーイング七七七なのに、往路の座席の座り心地は極めて悪かった。食事には満足した。
米国への入国審査では審査官に入国目的や行動予定をあれこれ聞かれたものの極めて友好的で、「入国と携行品申告カード」は米国では昨年から廃止されたが、日本では相変わらず必要だった。レンタカーはフォルクスワーゲンを予約していたが、日産アルティマ(トヨタのカムリ相当)になったので運転は快適だった。ガソリン価格は昨年と変わらず、一ガロン(三.八リットル)で五.五ドルだった。
宿泊は今回もシリコンバレイ寄りのモーテルにした。五、六十年ほどの古い建物で、浴室にはすでに換気もなく、掃除も一日おきになっていた。しがないモーテルでもコーヒーや早朝のドーナッツ位は出たのに、今年はそれもなかった。この三十室規模のモーテルは経営が悪くなったと感じた。昨年は駐車場が殆ど満杯だったのに、今回は八室くらいしか宿泊客がいない。ここの持ち主はインド系で昨年までは数人の男性がいたが、今年は女性しかいない。経営が悪いので働きに出ているのかと危惧された。今回泊った部屋は一泊一五〇ドル程だが、紹介料と会計料を取る業者がいるので二割くらいは上前を取られているかも知れない。
滞在と毎日の行動
このモーテルはエル・カミノ・レアルと言う大通りに面しており、向い側にターゲットと言う大型生活雑貨小売店があるから、日常食材を便利に安く買える。その意味では日本にしばしば紹介される「米国の物価高」はニューヨークでも、シリコンバレイでも似たようなものだ。相変わらず激安なのは「濃縮果汁から作られる」果実ジュースで半ガロン(一升)容器で四ドル程度だから、水代わりに飲める。それからカリフォルニアでは季節の果物が安い。小玉のりんご袋入り二ドル、小玉のもも六十セント、大玉(八十セント))小玉のプラム、パンは一斤二ドル程度、天然バターは一ポンド七ドルとかなりの値上げ、蜂蜜も小瓶が五ドル、天然チーズは店により値段がまちまちだが、私が好むカマンベールやブルーチーズは安いと六分割片が四、五ドルと言ったところだ。
毎日行き先はいろいろだが、相棒の希望はお土産の買い物(スタンフォード大学書店)、レストラン(バーべキュー)で肉を食べること、シリコンバレイに来た「証拠の記念写真」やサンフランシスコで彼の写真を撮ることなどである。まず手始めは、スタンフォード大学校友会のスタッフで日系人の杉浦さんがゴルフカートを用意してくれたので、ビジネススクールの食堂で二人分十六ドルの昼食を食べた。そのあと化学、生物、情報系の新校舎の外観を見た。毎回、シーズキャンデーでお土産のチョコレイトを買うのだが、今回は値段が大幅に上がったのに驚いた。今回は半ポンド入りの箱入り(実際は0.7ポンド)が三十二ドルになった。
食事
今回の食事は昔と比べると「大当たりの味」ばかりではなかった。マウンテンビューの広東料理麒麟で注文した「昼食」(昼定食十五ドル)の宮中鶏ソテーは相変わらず抜群の味だった。ここの給仕係とは四十年の知己だが彼は未だ頑張っている。この繁華街にあるバーベキュー料理店の「三種の肉炙り焼き」には堪能した。店には東海岸の種々のウイスキーが置いてあったが車を運転するので注文できなかった。最後はパロアルトの「カリのお台所」で、「あぶり山羊肉とピタとサラダ添え」と果汁を食べたが、これにも満足した。シリコンバレイの夏はからっと晴れて爽やかだ。
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