特集記事
徳川文武の「太平洋から見える日本」
第百七二回 国会は有権者の無関心で沈没するかも
一九四五年に日本は太平洋戦争で連合国軍に敗北、新憲法のもとに衆議院と参議院の議院制で議会制民主主義政治が始まった。ここから総選挙における第一党に注目してみる。一九四六年初めての総選挙(戦前からの通算二十二回目)では保守系の日本自由党、翌年は社会党に入れ替った。それ以後三回は、民主自由党、自由党、自由党であった。翌年一九五五年は日本民主党だった。翌年第二十八回総選挙で自由民主党が結成され岸信介が総理大臣となり、第四十四回総選挙期の終わり二〇〇九年まで自民党の一党政治は続いた。次の第四十五回総選挙で自民党は大敗し民主党が躍り出たが、第四十六回から第四十九回までの二一二一年総選挙まで自民党が第一党となる。
自公合同選挙戦略は、とにかく「総選挙に勝つ」ことである。五十五年体制以来、岸信介は一九五七年から一九六〇年まで内閣総理大臣に二期任じられており、日米安全保障条約などで、米国は日本の保守政党と緊密な関係になり、労働組合や学生運動の中核となった革新政党の社会主義的政治活動を疎んじるようになった。ウィキペディアによれば、一九六〇年代から岸信介は韓国の旧統一教会と緊密な連絡を保ちながら、反共産主義の活動を中心に教団と緊密な関りを持ち続け、一九六四年に旧統一教会は宗教法人として活動を認可され、都内に活動の拠点を置いたと記されている。岸政権時代以来、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は、昨年奈良県で行われた地方選挙演説に応援で駆けつけ狙撃された安倍晋三元総理も含む多くの自民党議員が、教団の集会で講演をしてきた映像が公開されている。自民党の任意調査でも、大半の選挙業務で旧統一教会から何らかの支援を受けていたことが判明した。信者保護の弁護士たちは旧統一教会の免許を取消すように文科省の担当局に迫っているが、政府の立場は煮切らない。
本日のテレビ報道によると、旧安倍派自民党の重鎮たちは、「職務である国民のための政治活動」よりも「派閥争い」に明け暮れ、政治ゲームに忙しい。当たり前だと言う前に、当たり前さ加減を疑い、伝染病の蔓延や無駄消費や無菌生活が「従来の生活」の持続を不可能にする可能性を危惧する。他人が言う事を「鵜のみ」にしがちな日本人ほど、世界から取り残されてしまい、日本の総選挙で必勝する自民党に起こりがちかも知れない。米国では共和党と民主党が政権を取る割合は平均すると「五分五分」だと言われる。日本では自民党が総選挙ではここ五十年以上圧勝する。自民党が正しいから総選挙で圧勝すると自民党は思うかも知れないが、大世帯の政党がより確実に勝つ。本日のテレビで国民民主党の玉木さんと前原さんが党を代表して舌戦議論していた。こんなに違う二人が一つの小さい党内にいると、この二人が舌戦議論を始めると、周りの人たちは一斉に飛び出すのではないかと私は爆笑した。現在の自民党は七派閥と無派閥の合計三百八十名から成り立っている大世帯である。全国会議員の約五割が自民党議員で、自民党議員の約四分の一が安倍派に当たる。今のままの党員構成だと、国会の多数政党機能は破綻して中国のような一党政治になるだろう。その前に全国会議員が、例えば無作為な三つの政党にくじ引きで分けられ、取り敢えず政治実験をして見るのはどうだろうか。
とにかく有権者として要求があるなら、自分の国の政治に関心を持つ必要がある。国会議員の平均的歳費は一人当たり年に約五千二百万円だ。こんな無茶な歳費になってしまったのは、有権者の勉強不足だ。衆議院の議員の約半分越えは自民党議員だ。これはもとをただせば、国民が放置したからである。そればかりか、野党の国会議員の怠慢でもある。彼らがもっと共闘して連合を作り自民党に対抗してくれれば、ましになる。健康保険を無駄にしないことも国民が出来る工夫だ。健康保険を払っているのだから、元を取るために診療所に行って薬をもらおうと言うのはほめられない。予防医療やジェネリック薬品に努めるのも良いことだ。
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