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徳川文武の「太平洋から見える日本」
第百六十九回 広島で七大国首脳会議
八十年ほど前の大平洋戦争では、人類史上初めて民間人を標的にした原子爆弾が、広島と長崎に投下された。その結果、七十万人以上が被爆し、三十万人以上が殺され、毎年六千人以上が亡くなっている。原子爆弾が投下された地上の状況は、そこにいた人間にしか認識できない。この五月十九日から三日間開かれる七大国(仏・独・米・英・伊・加・日)と欧州連合の首脳による会議と招待された八か国(豪・ブラジル・コモロ・クック諸島・印・インドネシア・韓・ベトナム)首脳が今年の議長国である日本の広島に集う。これに先立ち、すでに日本の各地で様々な分科会が開かれた。中国は上海協力機構の内陸鉄道を整備し沿線のシルクロード諸国を招いて、各国のインフラ整備事業を作ろうとしているのではないか。中国本土とドイツ間の鉄道貨物は、カザフスタンからモスクワ経由で輸送される。ユーラシア回教圏で国土が最大のカザフスタンは中国の隣国で、ロシアの宇宙船打ち上げ基地もある。中国の内陸から東南アジア諸国と直結する輸送路(鉄道・自動車)は中国の昆明とラオス間が開通した。
今回、日本が議長国として、広島で七大国首脳会議が開かれる意義は、民主世界と専制世界に二分化した国際社会で「安全保障」が担保されなくなり、国際社会の相互依存であったエネルギー、鉱物、食料資源の依存関係が分断された。国際社会は、発展途上国の近代化の欲求の債務の罠に付け入る専制大国の資源強奪を許してはならない。第二次大戦以後に国連常任理事国に「核兵器増産」がはじまり、縮減合意で核兵器を減量したかに見えたが、国際社会での専制国家は、ここ数十年大幅に「核兵器在庫」を拡充している。今回の七大国首脳会議に集う諸国の代表全員が、原爆資料館に展示されている「生々しい核戦争の爪痕」を認識し、核戦争の災害を再び起こす愚かさを繰り返さないと誓うことが必要である。
ラズベリージャムとパンケーキ
早春に太陽のぬくもりで虫が出てくる季節前には餌がないので、コブシに花が咲く頃に、鳥がやってきて蕾を食い散らかす。庭先のボケに朱色の蕾が開く頃、鳴き声を出さないエガラやホオジロのような小さい小鳥、メジロやウグイスもやって来て木の茂に隠れて鳴き、すごい速さで飛び去っていく。我が家の西向きの崖下に伸びている桜の大木には、ヒヨドリやオナガやセキセイインコの大群がやってきて、「七夕の竹にかける飾り」のように留まり「大雑談」を演じる。
四月中旬ごろから、我が家に自生するラズベリーには次々と五弁の白花が咲いて実がつき、小胞からなる直径七、八ミリほどの真っ赤な実がどんどんなり始める。苺ジャムと同じ要領でラズベリージャムを作る。トーストパンやパンケーキに添えて食べても中々いける。ジャムを作るときに、レモン果汁などで酸味を加えると更に味が引立って美味しくなる。このラズベリーは都心にある小松製作所の屋上庭園でもらった子苗が元でここ数年我が家で果実がたくさん収穫できた。また昨年はケチャップで有名なカゴメから買った料理用トマトの苗を植えたら、実によく実が採れたものの、果実に全く旨味はなかったので驚いた。電話で聞いたら、これはサラダ用の品種ではないと言われた。
先日のテレビ番組で国内の「刻み野菜加工業者」が取材され、刻み作業で生じる切り残しが「製薬」の素材になると言うことで取材の対象になったらしい。我々が知る限りでは、日本の家庭や食堂や食材産業が廃棄する「切り残しや残飯」は年間六百万トンと言われており、素材や食材の輸入依存率が高いにも拘らず、これらを効率良く活用していない。一般的な日本人は買物をするとき、不必要に食材の「見てくれ」の良さ(販売商品の形や大きさが揃うなど)にこだわる。必要以上の包装も「伝統的な日本の無駄」に見える。献立を作るときに食材は細かく切るから、店で並べてあるときの「素材の姿」は献立の味にはあまり反映されず、値段が高くなるだけ無駄ではないか。
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