特集記事
徳川文武の「太平洋から見える日本」
第百五十九回 情報のデジタル化
第二次安倍政権の情報環境
情報環境の整備費用と言うと「コンピュータ何台買う予算」として計上すると言う考えが頭の中にあるようだ。目に見えて重さが計れる物体にしか予算化しないと考えられていた。ノーベル賞を受けた京大の山中先生が次の研究予算は、研究室何棟、コンピュータ何台、実験資材何組、研究者の報酬何名分などは認可されるが、欧米で認可される「研究支援部隊」の予算は、日本の事務方には理解されないと言われた。要するに直接経費しか認可されない。日本の国家予算はいつも多めに申請し、結果の評価はしないと言う。こんな方法で国際競争に勝てるわけがない。競争に勝つには、相手の弱みを知ることが重要だ。
日本国土の安全保障
安倍政権は国際的に諸国の首脳と親交を保つ努力と成果を上げたが、日本の領土と在外邦人の安全確保では成果は上げなかった。外国人の日本国土所有の詳細情報を保持更新することは、日本の安全保障上重要である。日本の安全保障には防衛力の拡充も重要だが、防衛基地と共に外国人が所有や使用する土地の「詳細情報」も即時に表示する「日本の国土パネル」の五年以内に開発が望まれる。
中国やロシアのような国の国民は自国の土地を所有できない。日本の民法では外国人土地法により、外国人にも日本国の土地所有が認められている。また「外国人の日本国土の所有」に関しても安倍政権はその確認と更新を怠ってきた。日本の土地不動産は地方法務局の管轄下にあるが、日本人所有者でさえ住所変更や所有が代わっても申請を出されないことが多い。その理由は法務省での登記手続きが煩雑なためと、原野や農地の土地価格が低いためと言われる。
外国人の土地所有者については、事実上住所変更や所有者変更は申告されていない場合が多いと言われ、追跡調査が困難な状態にある。中国共産党は旅券を持つ世界中の中国人に命令に従う要求をする法律を施行している。これで中国人が所有する日本の土地に中国軍スパイが立ち入ることが出来る。時々テレビの話題に上がるが、新潟市内に「中国領事館」は敷地を取得したと言う。外国の出先機関には治外法権があり、建物を作り屋上のヘリポートからヘリコプタを飛ばせても、日本政府はこれを阻止できない。また隠岐の島には、韓国人所有の土地が沢山あり、韓国本国からここへ観光客が来ると言う。外国人が所有している日本の土地には、スパイが自由に出入りしているかも知れない。
証明書類のデジタル化
安倍政権の時代に高市総務相が始め、まだ完結していない「国民カード」の普及の話をする。東京では確かそれ以前に、毎年発行される健康保険証や日本特有の住民票や戸籍謄本や印鑑証明などを発行する「身分証書」に「住民基本台帳カード」が制度化された。単独の「身分カード 」にどんなデータを保存するか、また四桁の「鍵情報(パスワード)」を知らない本人以外の人が、そのカードから得る「個人情報」が問われた。鍵情報の入力は三回間違えると不能になり、本人が地域の市民センタに出頭して再設定する。何かの理由で「住基カード」は廃止になり、「国民カード」が登場したが普及は十六パーセントだった。私が米国で受け取った「社会保障カード」は名刺大の紙片で九桁の数字が印刷され自分の署名を書込んだ。
時代はコロナ感染症の二〇二〇年となり、政府から緊急事態宣言が出され、国民は自宅待機になり、第一回目の特別定額給付金が政府から発表され、支給元は地方自治体だった。記憶によると政府はとりまとめを電通にして七百億円余りで全国民に現金十万円を届ける業務を発注した。しかし住所や支払口座が不明な国民が多く、数か月位かかり、国民の不満は高かった。要するに、緊急だと言うのに、まず受け取る自国民の住処が全部は把握できないと国民から批評された。でも路上生活者もいるし、簡単な話ではない。
縦割り省庁の壁
役所の事をよく知らない私には各役所は、それなりの異なる名称の「様式」と「用語」と「物量」の基準を使っているように見える。当然ながら、使用するデータベイスの規格が違うのだろう。もっと悪いのは、ファックスで送られて来た手書き申請用紙からデータを端末PCに入力しているのではないか。コロナでは治療に関して保健所が病院と患者の間に入って許認可を出していることも分かり、保健所の過剰業務が遅延の原因になっている。
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