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特集記事

Vol.259 -- 2021 年 11 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」 徳川文武

第百五十回 環境の改善が必要な場面

 二〇一二年暮れに発足した第二次安倍政権は二〇二〇年秋に安倍総理が辞職し、継承した菅総理も一年ばかりで二〇二一年秋に辞職、空席になった自民党総裁選挙に立候補した四人の中から岸田さんが総裁選挙に勝ち抜き、第百代総理大臣に当選したのも束の間で衆議院は満期となり解散、二週間で九党から十月末に総選挙の候補者たちが衆議院の小選挙区と比例区とから選出され、総選挙に臨む。  この九年間の自民党独裁は民主主義を無視し、国民を蚊帳の外に置いた不透明な官邸政治が続いた。森友や加計学園の取引では財務省の官僚が忖度に身を投じ、検察は独立した判断基準を行使できない立場に追いやられた。過去二年間は中国から発生した新型コロナ感染症の蔓延防止に明け暮れ、人流隔離優先の生活は、国民の社会生活の経済基盤を大きく損なった。

 次に今回は地球環境を汚染する廃棄部材や、宇宙に打上げられた種々の目的の飛翔体から外れる部材が他の飛翔体と衝突事故を起こす危険性と、電動スケートが予測しない人混みに跳びこむ恐ろしさを指摘したい。

世界一の無駄王国ニッポン
 日本人は清潔好きだと言うのが日本を訪れる外国人の観察だ。また食品には食用期限や賞味期限が表示されており、食中毒の防止のため、期限を過ぎた食品は廃棄処分されるのが通例だ。統計によれば、日本では毎年六百万トンの食品が家畜の飼料や廃棄に回される。私の米国生活の経験では、客が食べ残した食品は客が支払うのだから、客が持帰ることが出来る。頼めばプラスチックの容器に残飯を入れ改めて紙袋に入れてくれる。もっとも米国では食事を運ぶ給仕にチップを渡すのが普通なので、給仕はそのくらいのことはやってくれる。しかし、日本には食事を運んでくれる給仕にチップを払う習慣はないので、客が食べ残した食品は、提供元では中毒の責任を回避するためだと言って、客には渡さない事が多い。米国ではレストランで献立を注文するときに、半人前の量を出してくれるところもある。日本ではそんな選択の余地はない。

 日本の食材店には食材の重さを量る秤はおいていないが、欧米では料理を作るときにその量を知ることが必要だと言う考えで、秤を置くことが法制化されている。日本では食材の皿売りが普通に行われるが、欧米では食材は皿売りでも重さの単価を明示するのが普通だ。日本の八百屋でキャベツなど葉物野菜を買うとき、日本の客の多くは外側の葉が汚れていると言って食べないから、八百屋のゴミ箱に不要な葉を数枚剥ぎ取って捨てていく。日本で商品を買うときは、店員は物により丁寧に包装してくれるか、最低限、プラスチックや紙の袋に商品を入れたり包んだりしてくれる。

環境破壊防止運動
 ここ十年ぐらい、EU諸国から環境破壊の原因となるプラスチックの容器や包装材を減らす運動が常態化した。経済的発展が著しいアジア諸国ではそのような意識が薄いため、無神経に使用済みのプラスチック部材を河川に投げ捨て、これが大洋に浮遊することになり、棲息する鳥類や魚類がこれを飲み込む事が多い。また発泡スチロール材などは日光で微細粒子化するが化学的に分解はせず海中生物に取り込まれる。その魚介類を人間が捕獲して食することとなり、人体への影響が危惧されている。また海浜や海面に浮遊する漁網や漁具に海鳥や海亀が捕獲されて死滅する例も多い。時として大型油槽船が座礁して積み荷の大量の原油が広域の海面を油膜で汚染する事故も時折報告される。環境汚染は海ばかりでなく、地球を含む天体の重力圏外にばら撒かれた宇宙船を含む飛翔体から離脱した構造部材や微粒子の数が激増し、現在となっては広大な宇宙空間に浮遊するゴミとなって稼働中の宇宙船や観測衛星のアンテナや太陽電池パネルに衝突して重大な事故を起こす可能性も予測されている。

路上や歩道を跳回る電動スケート
最近テレビニュースを賑わせる話題は「電動スケート」の危険な暴走である。最も原始的なスケートボードは、ハンドル付きの二輪足跳り型であるが、その次に小型のガソリンエンジン付きの物が海外に出回った。そして性能が上がった充電型電池付きの電動スケートの登場となった。動力付きと言うことで、この電動スケートは運転免許が必要になる。一週間ほど前にテレビニュースに取り上げられた「危険な電動スケート」は、運転者の技術未熟さもあって、矢のように走回る、誠に不安定な道具と言う印象を受けた。

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