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特集記事

Vol.185 -- 2015 年 09 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

第七十六回 七十回目の終戦記念日に思う

資源不足で開始した太平洋戦争
日清戦争と日露戦争に勝利、日韓併合でこれらの地域の支配権を手に入れる。日本は海軍力を増強、欧米諸国と対等な地位を得ようとするが、協調外交はうまく行かない。中国清朝が一九一一年崩壊する。一九三二年日本は満州帝国を建国した。東北アジア情勢を変えようと、一九三七年日本は日中戦争を開始し、この地域の兵力を増強、民間開拓人もどんどん送り込んで植民地化を図る。

第二次大戦以前、「西欧列強」は東アジアや東南アジアを植民地にして権益を獲得した。そこに日本が割込み、日中満の「大東亜共栄圏」と称して日本が盟主になるのは「西欧列強」には受け入れがたい。日本は日中満中心の「大東亜共栄圏」の名の元に、欧米諸国が権益を持つ東南アジアの資源を手に入れるようと、一九四一年米国ハワイの真珠湾を奇襲攻撃した太平洋戦争を開始した。東西七千キロ、日本から三千キロから五千キロも南までの遠路にあり、灼熱の赤道近くの東南アジア大陸と島が多い広大な資源地域だ。当初、英国の植民地の占領に成功した日本も、現地住民に対するむき出しの支配欲が反抗心を呼んだ。日本軍が挑戦した未開地は、道の無い広大なジャングルで食料はなく、兵士の殆ど全員が餓死した。開戦の翌年からミッドウェイ、ガダルカナル、サイパン、沖縄、東京で惨敗し、原子爆弾投下二回で、三年余りの戦いの末、無条件降伏して終戦になった。欧米からの経済制裁を受けて、神国ののろしと特攻と竹槍戦法では、キリスト教連合には全く歯が立たなかった。

原爆投下をした国には、被爆の苦しみは分からない
ナチスドイツから米国に亡命したユダヤ人物理学者シラーは、アインシュタインの署名を借り、時の米国大統領ルーズベルトに核開発の出資を促したのが原子爆弾の開発と製造計画、マンハッタン計画の契機だと言われる。総指揮をとったのはオッペンハイマ、開発場所は全米に散らばるが、野外爆発実験はニューメキシコ州のロスアラモス研究所近くの砂漠で一九四五年七月十六日に史上初めて行われた。八月六日広島に投下された原子爆弾は、「出来立てのほやほや」であったことになる。

「原爆の実験」では、物理的や機械的「破壊力」が詳細に評価した。しかし、生物的な「破壊力・影響力」の評価は不十分だったらしく、米国は戦後、日本の被爆者から詳細な被爆後遺症の多くのデータを集めた。米国は太平洋ビキニ環礁で水素爆弾の実験を行ったが、日本の漁民への影響には「かなり無関心」だった。原爆投下の被爆は、落下時の自由空間での爆発(熱衝撃波の伝播)になる。一九八三年米国ペンシルバニア州スリーマイル島で起きた原発事故、一九八六年に旧ソ連邦ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発で起きた原子炉暴走・爆発事故、二〇一一年に日本の福島原発で起きた東日本大地震・大津波により非常電源喪失して燃料棒反応が制御不能になった事故、これらはみな違う種類の事故だ。

兵器である原爆は、「使用が安全」で「破壊力が甚大」なことが必要だが、「被爆症」などに対する考慮は無い。「原爆の保有」は、相手国に対して強い「抑止力」にはなる。原爆を「投下した国」は原爆を「投下された経験」がない限り、原爆の「恐ろしさと人間が蒙る悲劇」を実感できない。米国が言うように「この戦争の早期終結に原発が必要」だったと言うのは本当だろう。それと同時に米国は、被爆者が受けた苦しみについて関心が低すぎる。一方日本も、原爆慰霊祭を恒例行事として繰返しても、それだけでは、世界の為政者に核兵器不使用を納得させることは難しいだろう。

政治主導で原発は再稼動

せっかく停止した原発を安倍政権は再稼動した。私は三つの理由で絶対反対だ。第一の理由は、核廃棄物処理費用を全く考慮しないで、「発電費用が安い」とうそぶくことである。これは現在千兆円もある財政赤字に「核廃棄物処理費用を積み増して」後代に府の相続をすることになる。第二の理由は、日本の原発は全て天災の被害を受ける可能性があり、福島原発で問題になったように、天災時に非常電源システムが確実に作動する「設計上の確認」も全く不十分だ。第三の理由は、「近隣国からの砲弾」によって原発が簡単に破壊できる。これは「日本国をパニックに陥れる」に十分だ。ミサイルなど高級なものは不要、「原発に損傷を与える砲弾」を海上や外国から飛ばせば大惨事が起こる。現在の技術で飛翔中の砲弾を無事に撃墜回収するのは難しいだろう。

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