Vol.149 -- 2012 年 09 月号
|
第42回<若い運転者が起こす重大交通事故の原因は、ひょっとしたら、、、>
|
夕方になると生徒たちが下校してくる。我が家の近くでも、バスは生徒たちでいっぱいになる。たかが、中学生、でも、車内には「ほんわか、きな臭いにおい」を感じる。また、我が家の近くのバス停留所では乗客がバスを待っている。二、三メートル離れていても「ほんわか、きな臭いにおい」を感じる。我が家でくつろいで、居間のガラス戸を開けると、どこからともなく、「ほんわか、きな臭いにおい」を感じることがある。においが来る方角がわかる。いまや、「脱法ハーブ」の使用者は三割とも七割とも言われる。この「ほんわか、きな臭いにおい」は、マリワナのにおいとは違うが、私にはその化学物質のにおいがわかる。これらの「脱法ハーブ」を取り締まる法律は、現在の日本にはないのだ。いまや、コンビニや通販で広く売られている。安いものは一服六百円から買えるという。私の見方は、重大交通事故を起こす運転者の多くが、この「脱法ハーブ」の使用者ではないのかと言うことだ。違法物質の服用ではないので、そんなものの検査は警察もしないのではないか。老婆心だと、ただ祈るばかりだ。
国際的な統計によれば、毎日のように報道される「死傷者を出す重大な交通事故」は、日本で特に多いというわけではない。自動車による死亡事故が多いのは、何と言っても飲酒運転で、高速道路が発達している欧米諸国だ。私が米国に三十年住んでいた記憶からは、「一斉取締」はやらない。日本で報道される「通学児童や歩行者をひき殺す事故」は経済大国や先進国では多くない。第一の理由は、日本とは違い都市計画で道路が整備されており交通が過密でなく、第二は、米国などでは、人身事故に対する処罰が、格段に厳しいので、慎重に車や自転車を運転するからだと考えられる。インターネットで見ると、日本の交通違反点数は、駐車と停止違反が両方とも一点であるが、これはおかしいと思う。駐車違反は停止時の違反だから、人身事故が起こるわけではなく、違反点数が一番低くて当然である。しかし、移動している車が停止しないのは、車の移動中の違反であり、無防備な歩行者への妨害や死傷に至るので、私は速度違反と同様に、三点くらいが妥当だと思う。歩道における自転車の信号無視も罰金五千円以上で厳しく取り締まるべきだ。現金を持っていないと開き直るならば、即刻、収監されるべきだ。安全で住み心地が良い町を作るには、「全員」の協力が必要なのだ。
法律は行為を「禁止」と「義務」と「怠ったときの処罰」で拘束している。日本などでは検察は「拷問」を加えて意思に反した「本人の自白」を引き出すと言われるが、客観的に証明できなければ、本人の行為は違法として立証できない。こと「脱法ハーブ」に関しては、「薬事法」や「麻薬及び向精神薬取締法」などにより、使用した結果が重大な結果を引き起こした場合はその使用が違法となるはずだが、実情は違うようだ。「麻薬及び向精神薬」と呼ばれる化学物質は、含有される物質の組成と化学式と反応によって確認される。麻薬などを服用した人間が起こす身体精神状態は、含有する化学物質が神経に作用することによって影響を受け、履歴も残る。これを服用した人の反応は万人同じではない。薬学者の経験から、どのような化学的な結合単位が神経に作用するかは分かっているが、化学物質が変われば別の作用を起こす。インフルエンザの新型ビールスと同じように、あらたに「脱法ハーブ」が禁止物質になると、これを変形した次の「脱法ハーブ」が開発される。これに対して金と時間をかけて「麻薬及び向精神薬」作用を証明しなければ、この物質の同定はおろか、法律で禁止することさえできない。「法で禁止」されている化学物質の数に比べ、それ以外の「脱法ハーブ」はいくらでも作れるということなのだ。医薬品ではないということで、販売、購入には規制がかからない。そんな「脱法ハーブ」の使用者のおかげで、毎日罪もない人々が命を失っていくとしたら、こういう分析技術の分野にこそ、国はもっと金をつぎ込んで、それで得た技術から収益を回収することを考えた方が良いのではないか。また、物理的な服用量が問題ではなく、服用によって自分を制御できない状態に置いたため、「関係がない他人を死傷させた」ことが違法であると考える時代になっているのではないか。
|
このコーナーへのご意見やご感想をメール、FAX、おたよりにてお寄せ下さい。
(送り先 月刊ハロー編集部) |
|
その他の記事とバックナンバーのリンク
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年09月号 (Vol.293)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年08月号 (Vol.292)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年07月号 (Vol.291)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年06月号 (Vol.290)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年05月号 (Vol.289)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年04月号 (Vol.288)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年03月号 (Vol.287)
徳川文武の「太平洋から見える日本」あ -- 2024年02月号 (Vol.286)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2024年01月号 (Vol.285)
徳川文武の「太平洋から見える日本」 -- 2023年12月号 (Vol.284)
特集記事アーカイブ
バックナンバーの目次へ