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特集記事

Vol.148 -- 2012 年 08 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

 第41回<政治主導とは、不条理を国民に押し付けることなのか>第一回

 先回、政府は関西電力の大飯原発再稼動を安全確認なしに決定した。安全性改善のための改修工事は、再稼動のあとで行うと言う事がまかり通った。以前から指摘されていた、原発の地下を通る活断層の調査資料は政府関係機関の要請にもかかわらず、関西電力は紛失したと言って提出を拒否した。都合が悪い記録は提出しない、あっても無い振りをする。これを許すのは、誰のための政治か。
エネルギー政策に関する政府主催の国民「意見聴取会」本日は海の日にもかかわらず、全国から集まった原発再稼動反対のデモ行進を東京渋谷駅前で見かけた。戦後最大の七万人の規模だと言う。古川国家戦略担当相により開始された、エネルギー政策に関する「意見聴取会」は、政府が提示する電力発生三エネルギー(原発、再生可能、火力)の比率を変えた三案に対し、十一の地域の会場対応で各案に対し三人ずつあらかじめ無作為に選出された一般国民が、意見を述べると言うものだ。第一案は原発エネルギーなし、第二は原発エネルギー十五パーセント、第三は原発エネルギー二十から二十五パーセント。テレビの解説は、これは政府のやらせだ大批判、政府の下心は第三案だと言う。この「意見聴取会」はすでに仙台市と名古屋市で実施され、一般聴衆に公開されたが、聴衆からは発表者の選出に関して多くの疑問点が持たれた。取材に応えた人によると、申込み期間が短く、意見聴取会の開催時間も落選も知らされない。公正な選出なら、申込み条件と番号とその当落くらいは、公表するべきだ。名古屋の例では、第一案、第二案、第三案の「意見聴取会」の参加申込みは、それぞれ、一〇六、十五、三十七名だと言う。すでに行った名古屋市と仙台市では、第三案には偶然、三名中二名の電力企業関係者が含まれていたと言う。単純に考えると、名古屋では第三案の三十七名の申込者の三分の二の二十四名は、電力企業関係者であるかも知れない。それに開催地以外の地域から多くの人が意見者応募をしたと言う。これが政府が説明する、コンピュータによる無作為抽出の結果と信じられるか。政府は今後電力企業の関係者の参加を控えるよう通達した。一体、誰がこのようなやり方の「意見公聴会」を作案して、それが安易に承認されたのか。
大津市中学校で「いじめ殺人」された中学生の命は戻らない八ヶ月前にこの中学生は、周囲に同僚がいる学校でいじめ回されたあげく、仲間から金まで恐喝されたらしい。暴力と金、だから、警察が捜査に介入したのだ。それは、少年が何回も金を持ち出した事からも推測される。親は何回も学校の先生に掛け合ったが、教育に責任があるはずの学校は、取り合わなかったというのだから呆れる。本日のテレビニュースによれば、米国でも、いじめで我が子が自殺したと両親が語った。この場合は、インターネットによるいじめだった。両親は子供が自分の事を「相談できる相手」を持っていることが大切だと言う。大津市中学校の教育委員会と校長は、つい数日前まで、「いじめ」でなく「けんか」として、学校の責任回避をしていた。自殺した生徒をいじめた三人の生徒たちは、事の重大さを大人から教えられ、いじめを否定し始めたらしい。そして報道の番組が事件をえぐり始めると、観念したのか、校長も教育長も少年の「いじめと自殺」との関連の否定を肯定しはじめた。裁判所による事情聴取が始まると、女性市長は学校のいじめ放置を認める発言を行った。インターネットによれば、三十年程前に学校におけるいじめが全国的に顕在化し、十年程前から携帯電話を使ったネットいじめが、さかんになる。後者では、いじめの現場の発見は難しい。私が考えるに、いじめ防止対策は、第一に学校における生徒同士と生徒と教師の「相互会話」の増進、第二に暴力の「早期発見」と記録保存、第三に「いじめ警報機や暴力現場の写真記録」実現、第四に問題の「迅速な対応」(家庭、生徒、学校、教育委員会、警察、文科省)だろう。私が察するに、今回の中学校では、やるべき本質を「何にもやっていなかった」と思われる。でも、私は大津市の女性市長の迅速で前向きな対応を賞賛したいと思う。

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