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特集記事

Vol.144 -- 2012 年 04 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

 第37回<秋入学よりも重要な大学の教育問題を忘れるな>第2部

 いまや、激変する世界の中にあって、日本社会は「しきたり」と「儒教教育」で歪んでいる。日本の伝統とは言うものの、人間の独立と自主性を抑圧するので、責任感が育たない。明治以来の国民教育は津々浦々で子供を鋳型に入れて教育したが、昨今個性教育が叫ばれても、本質的には日本の教育には変わりが無い。そうなってしまうには、日本特有の問題があるからだ。
第二部では、日本の大学が「国際的競争力」をつける方法を考えたい。その実現には、第一に「大学の財政と体質強化」、第二に「学生の質の向上」、第三に「産官学の人事交流」が不可欠になる。

大学の財政と体質強化
 日本の学校は文科省による財政援助がないと経済的に成り立たないところが多い。学校法人は宗教法人と同様、事業や寄付に課税されず必要な金を獲得できるように法律を変えるべきだ。ホテルや農場や店舗を経営するもよし、政府や企業から委託研究を受けたり、特許で金を稼ぐのも良い。スタンフォード大学は、工業団地やショッピングセンターの賃料、優良企業や卒業生からの多大な寄付、先端研究の特許からの収入など、日本の大学に比べて、授業料収入からの寄与が低い。下の表は日本人が好きな大学についての情報である。金額単位は全て億(¥、$)である。学生数は学部生と大学院生の合計である。日米は、一ドル百円とすれば、簡単に比較できる。東大は国の大学だから、予算の帳尻などは考えていないのが良く分かる。

学生の質の向上
 今日ユーチューブを開くと、「中国で成績一位の学生ほか、中国の優等生は米国名門大学では入学お断り」と言う記事が載っていた。その説明に、米国の大学は試験の成績だけで学生の能力を決める国の学生を受け入れたくないのだとあった。使いやすい学生を雇おうとする日本の企業も、独裁中国の教育に対すると同じ考えを持っているのだろう。日本の子供は、幼稚園から大学まで、「暗記した知識を吐き出す能力」で評価され、「何も無いところから物を作り出す能力」など評価されない。だから、大学に入ると一度に疲れが出て、勉強する気がしないのは、無理も無い。だから、大学入試など止めて、その勉強の時間は、基本的な能力の育成に振り向けるべきだ。質問したら、十人十色の答えが戻ってくるようでないといけない。そして、大学受験までの学生の能力を総合的に評価する方法が採用され、大学入学試験は廃止するべきだ。

産官学の人事交流
 そろそろ定年になるほどの大学の先生の多くは、どぶねずみ色の背広を着てネクタイを締めている。私の時代の先生の多くは、ぼろぼろの大学ノートを黒板に写して講義をする。熱意も感じられないし、面白くも無い。最近、放送大学の講義をテレビで見ているが、同様で、話し方が下手な先生が実に多い。誰も批判しない閉じた社会に長年いると、こうなるのか。米国の大学では卒業しても、そのまま大学で教える事は出来ない。一度外へ出て、武者修行をしてから評価されて母校で教える事ができる。テニュアと言う終身雇用の地位は数が少ないから、外での輝かしい業績がある教員や研究者から選ばれる。米国では、実社会で幅広く活躍した人材が大学の教員として歓迎されるが、日本では余り評価されない。卒論の直弟子にすぐ後を継がせるならば、温情主義が優先して、競争により有能な教員を選ぶことは出来ない。

有名大学とは何か
 我々日本人はなんでも一流が好き、車ならベンツ、時計ならオメガ、大学ならハーバード。でも、ちょっと待って欲しい。欧米の大学の多くは、もともと、「総合大学」ではなく「単科大学」として始まった。だから、ハーバード大学の電気工学科、スタンフォード大学の音楽学科などと言ったら、米国人はげらげら笑い出すが、日本人はそんな事は知らない。不幸にして、東大は各分野で日本の最高峰の学者を集めたから、日本人は有名大学なら、どんな学科も揃っていると思い込んでいる。少子化に向かい、「総花的な大学」は方向転換した方が良いかも知れない。

大学名
東京大学
早稲田大学
ハーバード大学
スタンフォード大学
予算年度
2010
2010
2010
2010
総予算額
¥2050
¥633
$37
$41
学生数
14260
57500
19650
18488
授業料その他
¥166
¥650
$7
$7.4
寄付寄贈
¥453
¥21
$12.9
$8.2
事業収入
¥933
¥52
補助金
¥103
$11.9
※表中の金額の単位は億となります。
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(送り先 月刊ハロー編集部)

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