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特集記事

Vol.43 -- 2003 年 11 月号
 ●松戸市が誇る国の重要文化財
 松戸市馬橋には、昭和ニ十五年の文化財法により国の重要文化財の指定を受けた作品がある。万満寺の仁王尊だ。作家、高村光太郎の父であり日本を代表する彫刻家としても知られる高村光雲の鑑定により大正五年に国宝指定を受けた。様々な仏像を見てきたという高村光雲も万満寺の仁王像を見て感銘を受けたという。 どこの仁王像も強靱でしなやかな肉体を持つが、中でも万満寺の仁王像は肉付きのバランスが美しく、力強さを感じさせる長く伸びた腕が評価されている。鎌倉時代に彫られたというこの仁王像は、約七四〇年経った今もなお、傍に立つ者を圧倒する力強い姿だ。
●五代執権北条時頼と運慶
 鎌倉時代の傑作と謳われた万満寺の仁王尊。鎌倉幕府、時の権力者であった北条時頼が仏師・運慶に命じ、建立させた。時頼は元冦(文永の役と弘安の役)で活躍した英雄、時宗の父。寛元四年(一二四六)の執権就任後、北条氏に抵抗していた有力御家人、三浦泰村一族を排除する為、三浦氏に謀反の疑いを掛けて滅ぼしたことで知られている。(宝治の乱)執権職を譲った後も、権力を保持し幕府政治を操るが、三十六歳の若さで亡くなった。
 制作者の仏師・運慶は、東大寺南大門の仁王像や興福寺北円堂の諸像など数多くの仏彫刻作品を手掛けた人物で、力強さと写実に特色のある鎌倉新様式を築いた。貴族中心の平安の世から武士社会である鎌倉時代への変遷の中で仏像も優雅端整なものから万満寺の仁王尊にも見られるような質実剛健な姿が好まれるようになり、もてはやされた。
●仁王尊の股をくぐれば無病息災
 地元市民といえど松戸市にある国指定重要文化財は半年に一度しか見ることができない。現在、万満寺の中門に安置される仁王尊は、春・秋・正月とそれぞれ3日間のみ御開帳される。仁王尊の股をくぐれば病魔災難除け、特に小児の難病にご利益ありと伝えられ、江戸時代には疱瘡除けの仁王として他国遠方まで知れ渡った。参勤交代などで江戸を訪れる大名も盛んに訪れたという。その言い伝えが残り、現在でも御開帳の時には股くぐりが行われ、多くの人出で賑わっている。今年も10月27日から29日には「仁王股くぐり(病除け)」が行われる予定だ。

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