Vol.33 -- 2003 年 01 月号
松戸あれこれ物語 12月号
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↑先祖より受け継いだ農地とともに伝統の矢切ネギを作り続けている平川政俊さん。 |
●熱意と努力が伝統を守る
下矢切に先祖より150年も続くネギの専業農家がある。ご主人は4代目の平川政俊さん(52)。代々にわたり品質向上にかける意気込みは熱く、祖父から父の代にかけて先に記した農林大臣賞のうち実に3度も受賞するほど、評価の高い信頼されるネギを作り続けている。「いかにロスを出さず、いかに同じ良質なネギを作るか」毎日が試行錯誤の連続だという。
現在、平川さんの家では「根深一本ネギ」を5月〜9月にかけて畑に植え付け、10月〜4月にかけて収穫し出荷している。それまでには、種や苗床作り、堆肥や魚粉カスを馴染まる土作りなど、様々な作業が行われる。特に、土を根本に寄せていく土寄せ、追肥や病害虫防除など、天候や生育に合わせ4〜5回に分けて繰り返される。1年365日、同じ日は1日もなく、自然が相手の露地栽培だ。「より美味しく、より美しく、より多く」との願いを込め、一つ一つの作業を行っている。単純に土壌や気候など自然の恩恵だけではない、こうした日々の作業とな努力の積み重ねにより、白身が多く真直ぐで味のいい伝統のネギが作られる。
ネギの旬は12月〜2月、寒ければ寒いほど甘味を増す。この時期は出荷の準備で大忙しだ。収穫されたネギは、サイズ別に箱詰めされ午前中に市場へ届けられる。一本一本丁寧に泥を落とし、皮をむき、水洗いされたネギは、太さも揃い引き締まり、どれも輝きを放っている。まさに畑で作られた芸術品だ。「矢萬」(やまん)の屋号で知られている平川さんのネギは、光沢といい、食感といい、見事なネギとして市場でも高値がつけられ、都内の有名料亭にも納められている。今ではハウス栽培や輸入物など、一年中出まわっている野菜。どんな状態でなっているのか、旬がいつなのか、忘れてしまいそうだ。ネギは、葉に露にも似た小さな「ミツ」が付くと取り頃という。根から養分を吸収し土の中で冬眠する。そして、お腹がいっぱいになったとミツを出す。葉に付いたキラキラ光るミツは、甘さがネギ全体に濃縮されているという証拠なのだ。「掘り立ては天ぷらが最高だよ」と日焼けした顔いっぱいに笑顔がこぼれる。平川さんは、近くの小学校や大学で講師としても活躍、子供たちからもネギおじさんと慕われている。
●宅配、小売もしてくれます。
【問合せ】 松戸市市下矢切633
TEL 047-362-0578 |
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↑江戸川流域に広がるネギ畑。一本の雑草も見当たらず、真直ぐ伸びた畝に等間隔に植え付けられている。土の下にある白身は50〜60cmにも成長するという。 |
↑出荷間近なネギ。サイズ別に分けられ、葉の先端を切り揃えている。贈答用としても人気が高い。 |
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