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Vol28 ----- 2002年08月号



い い も の
和のがこめられた 〜 花火 〜

              はかなくも麗に散る線香花火。
   その繊維で独特な火に誰もが引き込まれるように
見入ってしまう思議な魅力がある。

↑幻の線香花火「大江戸牡丹」。線香花火を愛する多くの人たちが力を合わせ試行錯誤を繰返しながら復活させた純国産の線香花火。昔から花火遊びの中心であった江戸の町と昨年開通した大江戸線にちなんで名付けられた。(取扱い店「山縣商店」)
 夏目漱石とも親交のあった物理学者・寺田寅彦は、随筆「備忘録」のなかで「線香花火には序破急があり起承転結があり、詩があり音楽がある」とまで絶賛し、その燃え方も四段階に分け「牡丹」「休止期」「松葉」「散り菊」と名付けている。そんな日本の風情として愛されている線香花火だが、最近では火玉が小さく繊細さや色合いが昔とどこか違う。それは現在出回まっているほとんどが中国産で、国産はごくわずか。牡丹から散り菊という繊細な火花は、国産の線香花火にしかみることができないのだという。
 では綺麗に咲く線香花火は、どのようにして作られるのだろうか。まずは紙と火薬。紙は繊維方向が不規則で薄くても破れにくい和紙が最適。洋紙だと火玉を持ち上げることができない。火薬は硝石、硫黄、松煙を配合するが、特に重要なのが飛びと火色に関係する松煙。これは古い松の切り株を燻して取るすす(油煙)のことで簡単には手に入らない。あとは撚(よ)り方だ。和紙の種類によって強弱を変え、ほど良く堅く撚ることで飛びや火玉の持ちの長さが決まる。このように和紙と火薬、そして撚るという一見単純に思える原料と手作業のなかに私たちを魅了する秘密があったのだ。今では入手困難な原料と経験を積んだ撚り手がなく幻の花火となったが、日本の情緒そのままに神秘的な光の花を咲かせる国産の線香花火は、和の心がこめられた伝統と高い技術が生みだす芸術品なのである。

あった!幻の国産線香花火

 消えかけていた線香花火の命が「大江戸牡丹」として復活した。それは遠い記憶に残るあの光の花だ。その火花は縁側に集まり、それぞれに夕涼みを楽しむ幼い日の思い出を呼び起こす。母が運んできたスイカに我先にとかけ寄り、傍らで父がビールを旨そうに飲んでいる。長兄の「始めるぞ」のかけ声でシーンと静まりかえり、火を付けた線香花火をそっと持たせてくれる。手にした線香花火は、チリチリと火花を飛ばし最後は花びらが落ちるように燃え尽きていく。その様を息をひそめ見つめた。そんな光景が贅沢すぎる懐かしさとともに蘇ってくる。やっと手に入れた国産線香花火だ。一本ずつ手作りなので、火花の大きさ、持ち時間がそれぞれ違う。その違いをゆったりと味わいたいものだ。今宵は、線香花火のソナタに酔いしれるとしよう。

 


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