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特集記事

Vol.195 -- 2016 年 07 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」 徳川文武

第八十六回 都知事の辞職から学ぶこと

東京都の腐敗した政治
 現都知事である舛添氏の「政治資金の使途違反」容疑は、今年四月に週刊誌に暴露され、六月十五日都知事の辞職が決まった。一九六〇年代から続いた日本経済の高度成長で蓄積された多額の現金は株や不動産で沸騰し「日本火山大爆発(バブル)」が一九八九年に起った。資産増殖のために金融機関が行った多くの融資は市場価格の暴落のため回収できなくなった。そのような不況時代の風潮の中で、有権者の関心は政治に疎いタレントに眼を奪われ、一九九五年以来四人の都知事による東京都政の混迷時代がはじまった。政府からの財政支援が不要で六兆円もの潤沢な歳入がある東京都では、東京都議会を掌握できない都知事により、「国会と閣僚」に勝るとも劣らない「雲上政治」が加熱し、東京都民の声はますます届かなくなった。

公私混同の公金使途の弁護
 今回、都知事が問われたのは「公金の不適切な使途」についてであったが、こんな問題を起す政治家は彼だけではない。「政治資金規制法」は、当然ながら議員や閣僚が作ったものであり、「自由な政治活動を政治家に許すために、出来るだけ金の出入りの制限を少なくした法律」だと言われる。極端なことを言うと、政治家はどんな目的にでも公金を使える。「政治資金の使途違反」を問われた舛添氏は二人の弁護士を雇い、その説明の責任を彼らに転嫁した。その弁護士たちの説明によれば、舛添氏の政治資金の使途は法に反していないものの、多くの点で不適切である。最後まで舛添氏と弁護士たちがあきらかにしなかったのは、舛添氏が都知事に立候補する直前に、家族が宿泊する千葉県のホテルの客屋に招いたと言う選挙事務所関連団体に属する人物である。舛添氏の弁護士は、この人物は出版業界で活躍したが、本人に会えなかったので(すでに他界していた)外の人から話を聞いたと言う。私はこの人物は実際には、政治団体を取仕切っている舛添氏の妻かと思う。

舛添氏追及の幕下ろし
 四月頃には「全く問題はない」とにこにこ答え、ブラジルオリンピック大会で大会旗を受取る式典出席の意欲を示していた舛添氏であるが、個人用品の購入代金は返金させてもらいます、そして報酬の一部返納したいと言い、舛添氏に選挙で太鼓判を推した自公も不信任解散では顔が立たないので辞職を迫り実現した。人々の関心が女性議員の多い次期都知事候補集団に移るや、舛添氏の「政治資金の使途違反」に対する究明についての関心は薄れる。それは日本人の寛容さなのか、いつものことながら、舛添氏が謝罪し目の前から消えたので一件落着と言う気分がかもし出される。このような「政治家個人」への追及が激しくなると、政治家を取巻く「法制度」や「都議会」へ矛先が向けられることを議員たちは避けたい。そして六月十六日都議会は舛添氏の追求をせず、百条委員会も開かず、これ以上事件の追及をしないことを宣言した。要するに、舛添氏に恥をかいてもらい、日本の政治体制を保存できたことを祝ったのだろう。日本と世界との政治体質の格差は、ますます広がる。次の都知事が都議会を主導してより良い都政を実現することを願うばかりだ。

将来への教訓
 今回の都知事辞職までの経緯から、私は日本の社会と政治について実に多くを学んだ。現在の日本国はすでに「賞味期限切れ」の時代に入っている。日本をこのような状態にしたのは、議会制民主主義という現在の政治形態のもと、議員や閣僚が国民の力が及ばない密室で「雲上政治」を行ったことであるが、国民の政治への関心の低さも問題だ。次期参院選挙はこの七月になる予定で、有権者年齢が十八歳まで下がったため、その準備が行われている。日本の義務教育では社会・政治・経済を公民と言う科目で教えるが、新たに加わる若年有権者への特別教育には、「座学」中心の公民に「体験」中心の公民(低学年からグループ討議や模擬学習や議会見学)を取入れたらどうか。その意味で今回の都知事の「政治資金の使途違反」問題を架空化した描写は絶好な教材になると思う。内容は政治と金、法律と道徳、犯罪と処罰、契約と履行などに章立てする。昨日のニュースでは投票資格を生じる若者のうち「出航する洋上訓練生」が想定外だったため投票できないと報じられた。選挙は民主主義の根幹となる重要な要素だから、万難を排して有権者の権利を守るよう、守られない場合は選挙を遅らせても、必要な法律を完備するべきだ。これはルール違反をしないと言う政治家の信条であるべきだ。

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